故事に習う

というわけで、悩んだ時は故事に習うことにしましょう。
本来は教訓的な話なんですが、意味が通る程度に改変しますね。

むかーしむかしに、たいそう腕のいい医者のお父さんとたくさんの子どもたちがくらしておったそうな。当時の医者は医薬分業なんてやっていませんから、自宅にあれやこれやの毒薬が置いてあるのはあたりまえ。

そこにたくさんの子どもがいるとなればやることは一つ、「間違えて服毒」ですね。毒に侵された子どもたちは、苦しさのあまり地に転げ回ります。

往診から帰ってきたお父さん、自宅の惨状をみて驚くのは当然。

さすがにやばいと思ったのか子どもたちは自分たちのいたずらは棚に上げて何とかしてくれなおしてくれと大合唱。

急いで解毒薬を用意するんですが、そこは子ども用。香料とかシロップを使って飲みやすくしてあるんですが何を言っても飲みゃしない。
どうも精神系にも効いちゃったみたいで本心が残ってるならともかく言うことを聞きゃしない。それもそのはず、子どもから見たらほんとに効くのか判りません。疑っちゃいますよね。

「いいからこの薬を飲みなさいな」
「いーや、それも毒かもしれないじゃん!」
こんなやり取りがあったとか無かったとか。

治してと頼んでおいてこれはないんでしょうが、そこは子どものなせる業。といって解毒薬を飲ませないことには治らないのは明白です。

ここでお父さん一計を案じます。
「この薬をここに置いておくからお前たちは取って飲みなさい」
と、次の往診があるからと出かけてしまいます。

さてここからが大芝居。
お父さん何を思ったのか使いの者を子どもたちの所に送って、お父さんが亡くなったと言わせたからさあ大変。
その知らせに大いに悲しみ、毒気から醒めて本心を取り戻し残された解毒薬を飲んで病を治すことができました。

その後様子を見計らってお父さんが帰ってきたのですが、子どもたちが一言。
「ひとやま越して置き薬がやってきた」

おあとがよろしいようで。オチがひどいよ!

とまあ、ざっくりこういう話です。途中からすっかり落語テイストですが気にしない方向で一つ。
正解はない話ですが、ちょっと視点を変えてみると結構教訓が出てきます。

さて、自分はいまどちらの立場で物事をみればいいんでしょう?
「毒」と「薬」とは何に当てはまるんでしょう?
お父さんの大芝居はどういう意味があったんでしょう?

いろいろ考えちゃいますね。